IWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードが、石森太二(38)を破り、2度目の防衛に成功した。

序盤から左肩を攻められ、「クリーンだよ」と言っていた石森からパイプ椅子で殴打された。その後、流れをつかんだデスペラードは仕返しとばかりに、同じように場外で石森の左膝にパイプ椅子を振りかざした。

中盤以降は、ジュニアのトップ選手らしく、お互いに技を読み合い、攻守がめまぐるしく変わるスピーディーな展開が続いた。一進一退の攻防の中、最後は連続のピンチェ・ロコで石森を沈めた。勝利後マイクを取ると「あんなやつと戦った後で、ペラペラしゃべれないよ」と疲れた表情を見せるも「堪能しました。ありがとうございました」と言葉を残し、リングを後にした。

これまでの前哨戦では、常に相手の嫌みを言い続けていた。ところが今回は「俺にないものを持っていて、最高に優れている」、「あら探しをしようと思ったが見つからない」、「海外で、自分の名前だけでオファーを受けて試合をしていた世界トップクラスの選手」。前哨戦で次々とリスペクトの言葉を並べた。そんな相手からの勝利に「あの石森に勝ったんだ。胸張って俺がチャンピオン」と高らかに叫んだ。

この日の解説席には高橋ヒロムが座っていた。高橋のケガによる返上で、2月末にベルトを掛けた3WAYマッチで新王者に輝いた。試合前には高橋の方を指さし、試合後には「ヒロムそんなところにいないでさっさと治せ」と声をかけた。復帰までまだ時間のかかる高橋は、レベルの高い試合を目の当たりにし「これからはおもしろくなる。でも(いい試合をされて)やっぱり悔しい」と胸の内を明かした。

次期挑戦者には18年から新日本に参戦していたロビー・イーグルスが映像で登場し、名乗りを上げた。「ジュニアのレスラーたちは次の挑戦者になろうと、まるでワシのように襲い合っている。この俺もチャンスを待っていた。俺も少しはハゲタカみたいにならなくちゃいけない。周りのやつらを押しのけ、列の一番前に立ってやる」と語った。デスペラードは受ける意向を示し「いいじゃないか。東京ドーム(25日)でタイトルマッチをやらせて下さい」と会社に要求。また新たな挑戦者が乗り込んできた。高橋の復帰も近づく。「石森に勝ったんだから誰も文句言わせない。正真正銘のチャンピオン」。デスペラードは今後、ジュニア戦線がさらに激しくなろうとも、トップに君臨し続ける。