ボクシング元世界ヘビー級王者ムハマド・アリの孫ニコ・アリ・ウォルシュ(21=米国)が、1回TKOでプロデビューを飾った。14日に米オクラホマ州タルサで、ジョードン・ウイークス(29=同)とスーパーミドル級4回戦で対戦。1回にダウンを奪い、さらにラッシュでレフェリーがストップ。1回1分49秒勝ちした。

ドレッドヘアのウォルシュは、祖父現役時に使用した白地に黒ラインのトランクスをはいてリングインした。白いガウンの下には、祖父の顔がプリントされたTシャツも着ていた。 4勝(2KO)1敗の相手に対し、初回のゴングから積極的に攻める。1分すぎにワンツーの右ストレートを浴びせると、相手が両手をついてダウンを奪う。試合再開となったが、さらに猛ラッシュで何度かぐらつかせて、ストップ勝ちした。 試合は世界戦の前座だったが、ESPNで生中継された。

リング上でインタビューを受け「期待に応えることができた。今夜少し歴史をつくったと思う。ここまでは感傷的な旅だった。祖父がいないのが寂しい」とホッとしていた。 母ラシーダさんはアリの三女で、ウォルシュは次男としてシカゴで生まれた。小さいころは「ポピー」と呼ぶ祖父についていきジムで遊び、その後にシカゴでボクシングを始めた。ネバダ大ラスベガスの学生で、これまでアマで30戦していたという。 クロンクジムで元世界王者らとスパーリングを積んだという。WBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(英国)にもつく、シュガーヒル・スチュワード・トレーナーから指導を受けていた。アリと27試合で組んだボブ・アラム・プロモーターによるトップランクの興行だった。

アラム氏は「私は遺伝子を信じている」と喜んだ。期待の高さも示すが、ウォルシュは「大きなプレッシャーを感じる。私には祖父にすぎない。祖父は偉大なファイターで偉大な人物だった。このトランクスを再びはくことはない」と話した。

アリ家からは7人目の娘となるレイラが、99年にプロデビューしている。01年には父のライバルだったジョー・フレージャーの娘、ジャッキー・ライドに2-0で判定勝ち。05年にはWBCスーパーミドル級で初代世界王者となった。24勝(21KO)無敗で引退した。