ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が熱望する3団体王座統一戦は来年4月中旬、首都圏のアリーナクラスの大会場で開催されることが14日、分かった。

【井上尚弥】8回TKO勝ち 難敵ディパエンに苦しむも防衛/世界戦ライブ詳細>

関係者によると、すでに会場は確保。対抗王者2人との対戦交渉に合わせ、日程が最終決定するという。また、両者合わせてのファイトマネーも軽量級では破格となる200万ドル(約2億2000万円)超になる見通しとなった。

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井上が待ち望んでいる来春のビッグマッチの概要が明らかになった。所属ジムの大橋秀行会長は「来春、国内で行います」とだけ話し明言を避けたが、関係者によると、4月中旬に首都圏のアリーナクラスの会場を確保済みであることが判明。これからスタートする対抗王者2人との統一戦に向けた対戦交渉次第で、日程を最終調整する見通しになっているという。

2戦連続の米ラスベガス防衛戦で井上のファイトマネーは100万ドル(約1億1000万円)に到達し、ディパエン戦でも同等以上の報酬を手にする。井上陣営では「コロナ禍でもあり、(対抗王者は)隔離期間なども含めての来日となる。対戦する王者も井上と近いファイトマネーにならなければ、日本開催は実現できないだろう」と説明する。両王者合計で200万ドル(約2億2000万円)を超えるファイトマネーは、バンタム級として破格のビッグマッチとなる。

対戦候補となるWBC世界同級王者ノニト・ドネアは11日に米カーソンで同暫定王者レイマート・ガバリョ(ともにフィリピン)に左ボディー一撃で4回KO勝ちし、王座統一と初防衛に成功。19年11月のWBSSバンタム級決勝以来となる井上との再戦もアピールした。

一方、WBO世界同級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)は11日にUAEドバイで同級1位ポール・バトラー(英国)との5度目防衛戦を自らの胃腸炎のために中止にした。病院に搬送されたため、WBOから診断書などの提出を厳命されており、拒否した場合は王座を剥奪される見通しだ。

WBO王座は混迷しているが、大橋会長は「選択肢は2つある。現時点でドネア、カシメロに優先順位はありません」と両にらみで交渉を開始する意向。井上が日本人初となる3団体王座統一を実現させる舞台が、整いつつある。

◆世界主要4団体統一王者 過去7人誕生している。世界主要4団体となって以降、04年にバーナード・ホプキンズ(ミドル級)、05年にジャーメイン・テイラー(ミドル級)、17年にテレンス・クロフォード(スーパーライト級=すべて米国)、18年にオレクサンドル・ウシク(クルーザー級=ウクライナ)、20年にテオフィモ・ロペス(ライト級=米国)、21年5月にジョシュ・テイラー(スーパーライト級=英国)が達成。同11月には世界的人気スターのサウル・アルバレス(スーパーミドル級=メキシコ)も4団体統一を果たした。

◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・座間市生まれ。元アマチュア選手の父真吾さんの影響で小学1年で競技を開始。相模原青陵高時代にアマ7冠。12年7月にプロ転向。国内最速(当時)6戦目で世界王座(WBC世界ライトフライ級)奪取。14年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上最速(当時)の8戦目で2階級制覇。18年5月にWBA世界バンタム級王座を獲得し、国内最速(当時)の16戦目で3階級制覇。19年5月にWBA、IBF世界バンタム級王者に。同年11月、WBSSバンタム級優勝。家族は夫人と1男2女。身長164・5センチの右ボクサーファイター。