Jリーグ横浜FCのFWカズ(三浦知良)の次男で総合格闘家の三浦孝太(19)が31日、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN33大会でデビューする。元ホストの格闘家YUSHI(33)との総合ルール66キロ契約体重3分3回に備え、30日に都内で計量に臨んだ。約2年前から三浦の打撃を指導しているボクシングジム「グローブス」代表の葛西裕一氏(52)が日刊スポーツの取材に応じ、初陣を控える三浦のパンチ技術に太鼓判を押した。

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得意分野は「打撃」と言い切る三浦は、2年以上前から「原石」として輝いていたという。19年7月から三浦の打撃を指導してきた葛西氏は「ボクシング目線で」と前置きしながら、その素質を高く評価した。「最初に見て(全日本)新人王を狙えると感じた。将来、日本王者を狙っていこうと言える素材だと思い教え始めた」と振り返る。

葛西氏はボクシングの名門・帝拳ジムのトレーナーとして西岡利晃、下田昭文、三浦隆司、五十嵐俊幸と世界王者4人を育成。キックの「神童」那須川天心のパンチ技術を指導してきたことでも有名だ。三浦に対し「上達のために自分はボクサーだと意識しよう」と助言し、指導するうちに同氏は「負けずにコツコツやれば日本王者に。日本王者にいければ世界にいけるかも…とのセンスを感じた。ミットを持つので彼にパンチ力があるのは分かる。動体視力も非常に良い」と高く評価している。

資質と同時に吸収力にも驚かされている。葛西氏は「最初は変な打撃の癖があったが、すぐに直った。のみ込みが早いし、頭も柔らかい」とべた褒め。高校までサッカーをやってきたことも「基本的に運動神経がいい。自分もサッカーをやっていましたが、スタミナ配分は似ているし無駄にならない」とプラス材料としてとらえている。

父のサポートを受け、三浦は9月から葛西氏の1時間以上のマンツーマンレッスンも始めているという。10~11月は、2試合(3分×6回)分を戦えるフィジカル強化に加え、同氏独自の体幹トレ、速さと持久力を兼ね備えた筋力作りを続けてきた。葛西氏は「新人王を取らせるような猛練習をしてきた。プロボクシングでも4回戦デビューできる。ずっと光るものを感じてきた。デビュー戦は攻めあるのみ」と熱いエールを送っていた。【藤中栄二】

 

◆葛西裕一(かさい・ゆういち)1969年(昭44)11月17日、横浜市生まれ。元アマボクサーの父の影響で中2で競技開始。横浜高3年で高校総体バンタム級優勝。専大を2年で中退し帝拳ジム入門。89年8月プロデビュー。92年に日本スーパーバンタム級王座、95年に東洋太平洋同級王座獲得。94年、96年、97年に3度世界挑戦。97年に引退し帝拳ジムでトレーナーに。17年に独立し、東京・用賀にボクシングジム「グローブス」を設立。現役時は身長174センチの右ボクサーファイター。