新日本プロレスの「エース」棚橋弘至(45)が、コロナ禍のもどかしさに涙した。

メインイベントでバッドラック・ファレと対戦。156キロを超える巨体の持ち主に何度も3カウントを奪われそうになりながらも、一瞬のスキをついた起死回生のサムソンクラッチで丸め込み、ピンフォール勝ち。NJC3回戦への切符をつかみ取った。

試合後、棚橋はコロナ禍でも集まってくれた408人のファンと交流。エアギターのパフォーマンスや拍手、シャッターチャンスの提供など、声は出せないながらも全力のファンサービスで、試合終了から15分間もリング周辺を駆け回った。

退場間際のことだった。子供がそばまで駆け寄ってくると、最初は笑顔で対応していた棚橋の顔は、次第に泣き顔に変わった。バックステージでも、大粒の涙を隠さず。「こんなにちっちゃい女の子が『たなー』って来ているのにタッチもしてあげられない。『また今度ね』って言ってさ」と、コロナ禍のパフォーマンスのもどかしさを吐露。「でも、みんなで協力して乗り越えていかないといけないから。(自分のことを)覚えていてほしいな」と涙を拭った。

次戦は15日(岡山)、強敵の内藤哲也と3回戦を戦う。「トーナメントの途中で当たるっていうのが俺が今、置かれている状況。ベルトもない結果も出ていない。上等。上等。ここで内藤を倒せばぐっと優勝に近づく」。自身の優勝で、ファンに笑顔を届けるつもりだ。【勝部晃多】