プロボクシング元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(45=米国)が、次元の違いを見せつけた。

人気総合格闘家の朝倉未来(みくる、30)と、ボクシングに準じたルールのエキシビションで対戦し、2回終了間際の右ストレート1発でTKO勝ちした。6分足らずで10億円超の報酬を手にした不敗のレジェンドは、来年も日本でのエキシビションを希望した。

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メイウェザーは一貫して朝倉戦を自らが主演する「エンターテインメント」(人を楽しませる娯楽)と語っていた。そのシナリオ通りの展開に「相手が私に何発かパンチを当ててくれたので大成功。彼(朝倉)はお客さんの盛り上げに貢献してくれた」と、試合後はご満悦だった。

1回は打ち合わず、2回終盤、左右フックを浴びて会場が沸いた直後、右ストレートを側頭部にたたきつけて試合を終わらせた。「ボディーに2発強いパンチを当てたら舌を出したりしたので、そういうつもりならと返した」「日本の友人に『2回にKOしてほしい』とリクエストをもらっていたのでね」。

17年に50戦全勝(27KO)の完璧な戦績を残して、ボクシング界から引退して5年。「トレーニングは続けているし、日常生活も節制している」という。45歳になったレジェンドに現役時代のスピードや切れはないが、定評のあるディフェンス技術とパンチを打ち込むタイミングは、ボクシング経験の未熟な相手にはまだ十分に通用した。

朝倉の勢いと1発に期待する声もあったが、ボクシングに準じるルールでは勝ち目がないのも当然だった。「あまり練習していなくて、準備もしていなかった。今回はエキシビションなので真剣にはとらえず、とにかくリラックスしてこの場を楽しむことにしている」というメイウェザーのコメントが、2人の次元の違いを物語っていた。

ボクシングで総額8億ドル(約1000億円)以上を稼ぎ、引退後も「不敗の5階級制覇王者」の金看板と知名度に、世界中のファイターや格闘技団体からオファーが殺到。エキシビション4試合で150億円近く稼いだ。「11月にはドバイでエキシビションをやるが、23年は再び日本に戻ってきたい」とメイウェザー。「マネー」神話に、まだ終わりは見えない。