読者が選ぶ第27回日刊バトル大賞(対象は22年1月1日~12月31日)の集計結果がまとまり、22年ボクシング部門は、前4団体統一バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が5年連続6度目の最優秀選手に輝いた。

ニッカンスポーツコムで実施した投票(1月14~20日)では、80%近くの票を獲得する高い支持を得た。年間最高試合(6月7日、ノニト・ドネア戦)も5年連続5度目の受賞で、5年連続の2冠も獲得した。

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実に78・6パーセントという高い支持を得て、井上は5年連続の最優秀選手に選ばれた。同じく5年連続で選出された年間最高試合も1、2位を独占した。22年の日本ボクシング界は井上が成し遂げた史上9人目、日本初、アジア初、バンタム級初となる4団体統一で盛り上がったと言っていい。しかし井上本人は余韻に浸ることなく、新たな挑戦に向けて進んでいる。

昨年12月13日、ポール・バトラー(英国)を11回KO撃破した後、同27日にはジムワークを再開した。今年1月13日には、すべての王座返上とスーパーバンタム級への転向を表明。早速、WBO同級1位にランキングされた。井上は「自分の強さを追い求めていきたいという気持ちがあるから、階級を上げて挑戦したい」と、まず国内2人目の世界4階級制覇を目標に掲げた。4月10日には30歳を迎える。1階級上には体格的にも大きい強豪が多いものの「肉体的にも反応もまだまだ上がっている。もっと強い井上尚弥を見せていけると思う」と見据える。

米スポーツ局ESPNには、5月開催を目標に日本でWBC、WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(28=米国)と対戦することで合意と報じられた。スーパーバンタム級での最終目標は世界初となる2階級での4団体統一。2団体統一王者フルトンとの無敗対決が実現すれば、一気に2本の世界ベルトが獲得できるチャンスだ。今春の世界戦を想定しながら、井上はフルトン戦決定の朗報を待っている。【藤中栄二】