WBA世界フライ級1位ユーリ阿久井政悟(27=倉敷守安)が世界前哨戦でフルマークの判定勝ちを収めた。東洋太平洋ライトフライ級13位ジェイソン・バイソン(21=フィリピン)とのフライ級10回戦に臨み、3-0(100-90×3)の判定勝利を飾った。KO勝ちを逃したことに苦笑いを浮かべ「倒せる場面はあったかなと思いました。もっと走ります。ちまたでは『ユーリ・タイム』と言って、1回(のKO勝ち)を注目されますが、10回を戦えることをみせられたと思う。ただ倒したかったですね」と貪欲な姿勢で振り返った。

試合前はコンディション調整に苦しんだ。練習中に左拳を負傷。痛み止め薬を飲んでリングに立った。昨年末に新型コロナウイルス検査で陽性判定を受け、発熱もした。さらにノロウイルスにも感染したという。昨年2月以来、約1年ぶりの試合で勝利したユーリ阿久井は「普段から1年間、練習してきたので試合できたと思う。世界を制するには左を制す。格言通りに左で支配してやろうと。だから左(ジャブやフック)の中心の試合になった」。トラブルを乗り越えたことに安堵(あんど)の表情を浮かべた。

リングネームは大好きなボクサーで雰囲気が似ている元WBC世界フライ級王者勇利アルバチャコフを意識して名付けられた。守安竜也会長は「(課題は)いろいろ挙げればきりがない。試合の点数は60点」と手厳しかったが、ユーリ阿久井は「厳しめがありがたいです」と気合十分。WBA同級1位ではあるものの「どの団体でも世界戦のチャンスがあるなら。ここまできたら1~15位までランキングは同じ。チャンピオンにならないといけない」と決意を口にした。