プロボクシング元WBC世界バンタム級暫定王者で現WBA同級2位の井上拓真(27=大橋)が、前4団体統一バンタム級王者の兄尚弥(29=大橋)が返上した4つのベルトの再統一を目指す。

4月8日、東京・有明アリーナで同級3位リボリオ・ソリス(40=ベネズエラ)とのWBA世界同級王座決定に臨むことが13日、発表された。

19年11月にWBC世界同級正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との団体内王座統一戦に敗れて王座陥落して以降、井上は東洋太平洋バンタム級王座、日本スーパーバンタム級王座、WBOアジア・パシフィック同級王座を奪取するなど、世界再挑戦のチャンスをうかがっていた。

約3年5カ月ぶりに巡ってきた世界王座返り咲きのチャンスに井上は「兄がバンタム級にいたときは世界戦はできないと思っていた。兄がスーパーバンタム級に転級してチャンスがきた。その兄が最初にバンタム級で獲得たのもWBA王座。これも何かの縁。今、井上家にベルトが1本もないので、自分が先陣を切って、兄(の世界スーパーバンタム級王座挑戦)にバトンをつなげたい。いろんな経験を積んで、今が一番世界を取れる自信がある」。満を持しての再挑戦に自身をのぞかせた。

対戦相手のソリスは過去に日本人選手との対戦経験が多いベテラン。13年5月には河野公平を判定で下した後、当時のIBF世界スーパーフライ級王者だった亀田大毅との2団体王座統一戦では前日計量をミスして王座剥奪しながら判定勝ち。WBA王座は空位となったものの、大毅のIBF王座が「負けても保持」となって騒動となった。また16年に1階級上のバンタム級へ上げて、当時のWBC世界同級王者山中慎介に挑戦も、判定負けを喫している。

会見でソリスはビデオメッセージで登場。「井上の兄はグレートボクサー。私は経験を積んだベテランで恐れるものはありません。今はスピードアップに取り組んでいる。全力でベルトをつかみにいく」とコメントした。

尚弥はWBA王座奪取を皮切りに、圧倒的な強さで世界バンタム級の4つのベルトをすべて統一した。井上も同じ青写真を描いている。「最終的に4つを集めたい。期間は気にせず、まずは1本1本取りにいきたい」と、兄と同じ最強王者への道を歩む覚悟だった。【首藤正徳】