プロボクシングのIBFが、16日に控えるミニマム級のダブル世界戦(東京・代々木第2体育館)で初めてビデオ判定を導入することが13日、発表された。同興行では、IBF世界同級暫定王座決定戦として同級3位レネ・マーク・クアルト(フィリピン)-同級4位重岡銀次朗(ワタナベ)戦が組まれている。同世界戦をプロモートする3150FIGHTファウンダーの亀田興毅氏(36)、IBF立会人のベンジャミン・ケイルティー氏、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛特命担当事務局長が同日に都内で記者会見。ビデオ・テスティング・システム(VTS)の導入について説明した。

興行をライブ配信するABEMAの全面協力を得て、別角度の5台のカメラを設置。レフェリーからの要請があった場合、3人のパネリスト(IBFケイルティー氏、JBC安河内氏と他1人)が映像をチェック。パネリスト3者が同判断となった時にジャッジが変更される。

IBF立会人のケイルティー氏は「月曜の夜に(IBFダリル・)ピープルズ会長に説明したところ『素晴らしい。ぜひ導入していただきたい』と話していた。IBFはフェアな試合を目指している」と、IBFで初めての取り組みを歓迎した。

既にWBCでは08年から世界戦でインスタントリプレーを導入しており、誤審や違反行為などのチェックをビデオ映像で検証している。同興行で同時に行われるWBC世界同級暫定王座決定戦の同級3位重岡優大(ワタナベ)-同級7位ウィフルレド・メンデス(プエルトリコ)戦でも今回のVTSが導入される。

JBCでは、3月の興行でABEMAの協力のもとでVTSのテストに取り組んでおり、安河内特命担当事務局長は「かなり精度の高い判定ができる。上々の仕上がりになっている。瞬時に映像を取り出せており、判断の時間はかからないと思う」と太鼓判。観客にも分かるように大型画面でチェックしている映像が映し出される見通しだ。

1月6日のIBF世界同級タイトルマッチ(エディオンアリーナ大阪)では、王者ダニエル・バラダレス(メキシコ)と挑戦者重岡銀次朗が3回に偶然のバッティングとなった後、王者が試合続行不可能に。そのまま無効試合となり、判定に難しさが浮き彫りとなった。亀田ファウンダーは「1月の世界戦後からビデオ判定を入れたいと思っていた。すべて完璧にはできないが、再発防止を3150FIGHTでできるのはうれしい。今後の3150FIGHTの世界戦ではVTSを義務づけてやっていきたい」との方針を示した。