プロレスラー藤波辰爾(69)主宰のDORADITION(ドラディション)の旗揚げ15周年記念ツアー第1弾が、30日に東京・後楽園ホールでスタートする。

藤波自身もメインイベントで、IWGPジュニアヘビー級王者の高橋ヒロム(33=新日本)との6人タッグマッチに臨む。12月28日に70歳を迎えるレジェンド。節目の興行を前に、日刊スポーツの単独インタビューに29日までに応じ、「生涯現役」を誓った。【取材・構成=栗田尚樹】

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藤波の挑戦は終わらない。12月に70歳を迎えるが、情熱は色あせるどころか、色濃くなった。旗揚げ15周年の記念ツアーを前に、炎の飛竜が燃えさかる思いを口にした。

藤波 70歳までリングに立つと思っていなかったですね。でも、人生で引退はないです。生きていく上での引退は、息を引き取るということ。息絶える時までが現役ですから。

師・アントニオ猪木さんは、昨年10月に亡くなった。後輩の武藤敬司は、今年2月に引退。同年代の猛者が一線を退く中、藤波の思いは純粋だった。

藤波 プロレスが好きなんですよね。プロレス愛、それに尽きますよ。あとはずっと見続けてくれるファンでしょうね。プロレスを見て、勇気を与えられるなら、リングに上がり続けたい。「藤波」って、ケツを蹴り上げるファンがいてくれたらありがたいですね。

終わりの絵は見えない。

藤波 長州(力)から「辰っちゃん、もういいんじゃないの?」。武藤は「藤波さん、まだやってんすか?」って言われるんだけど。彼らの方が勇気あるんだよな。潔いというか、俺はまだ引退する勇気ないですもん。

今大会では、メインの6人タッグに登場。日本ジュニアヘビー級の礎を築いた藤波と、第93代IWGPジュニア王者・高橋ヒロムの初対決が実現する。「全盛期を過ぎていることは百も承知。ファンも期待していないだろうけど、プロレスに対しての炎は燃え続けています」と飛び続ける。

引き際は考えていない。考えられない。「自分のファンが今40代、50代。学生のころから今も必ず試合に来てくれる。『自分の生きがい』と言ってくれる。勝手に辞められないよね」とうなずいた。「16でこの世界に入って、プロレスがなかったら、何やっているんだろうって。家内に言われますもん。『あなた幸せだな』って、プロレスは定年もない。他の業界だと、自分の思いだけでは出来ない。相撲だと、星勘定があったり、野球もここまで長くは出来ない。今は大谷(翔平)君が頑張っているけど、プロレスラーは制約がない。自分が法律みたいなものだから」。肉体が朽ちる、その時まで、藤波辰爾としてリングに立つ。