日本ボクシングコミッション(JBC)は21日、プロボクシング元世界4階級制覇王者・井岡一翔(34=志成)のドーピング検査で採取された検体が禁止物質である大麻成分(THC)の陽性反応を示していたと発表した。

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法科学研究センターの雨宮正欣所長が、日常生活において大麻成分(THC)が体内から検出される可能性について解説した。

科学捜査研究所(科捜研)で23年間、主に覚醒剤や大麻などの乱用薬物や、工業製品等の鑑定を担当した雨宮氏は「THCが含まれるものは基本的になく、日常生活で体内から検出される可能性はゼロ」とした上で、わずかでも検出される可能性は「大麻加工製品(一部合法)に不純物として大麻成分(THC)が入っていること」だとした。

一般的な健康食品やサプリなどからは検出はされないが「精神的なやすらぎがあるとされている成分、CBDを含有する製品は日本で禁止されておらず、量販店で販売されています。リキッドタイプの他、ゼリーやグミなどがあり、この中には不純物としてTHCが含まれる」と説明した。

さらに「一部の料理に使用される、麻の実の種にも不純物が含まれています。考えにくいが、大量に食べると検出される可能性はある」とした。また、大麻が合法とされている国で販売されているクッキーやチョコレートなどに成分が含まれていることで検出される可能性もあるという。

元埼玉県警察本部刑事部科学捜査研究所乱用薬物科長も務めた同氏は、このほか、副流煙も考えられ「本人の意図と関係なく、周りの誰かが大麻を吸っていると、たばこ同様に煙を吸うことで検出される場合があります」とも付け加えた。