<新日本:東京大会>◇13日◇東京・両国国技館◇9000人

 全日本のIWGPヘビー級王者武藤敬司(45)が、4月に王座を奪った新日本の中邑真輔(28)を21分39秒、フランケンシュタイナーで返り討ちに仕留め、4度目の防衛に成功した。同王座を4度防衛したのは、06年7月から07年4月まで防衛した棚橋弘至(31)以来1年6カ月ぶりの長期政権。年内は新日本、全日本ともタッグリーグ戦を控えており、次期防衛戦は来年に持ち越されそうだ。

 これが天才の神髄だ。中邑のランドスライドを返した直後に決められた腕ひしぎ逆十字固めにもん絶。なんとかロープに逃れた後、立ち上がった武藤に挑戦者が攻め寄った瞬間だった。本人も「いつ使ったか覚えていない」という大技フランケンシュタイナーがさく裂し、一気にフォール勝ち。「本能的にとっさに出た。それだけ攻めが厳しかった」と振り返った。

 厳しい戦いだった。中邑に、両ひじ、両ひざをに攻められ、ギブアップ寸前まで追い詰められた。「非常にしんどい試合だった。疲れてしょうがない」と45歳の長期防衛の本音ものぞかせた。

 13ゲーム差から逆転優勝した原巨人に刺激を受けた。原辰徳監督とは約8年前から親交がある。ともに通っているジムのサウナで初顔合わせ。原監督に「高田延彦戦に感激しました」と話し掛けられた。原監督の引退試合は95年10月8日、東京ドームでの広島戦。翌日は東京ドームで新日本とUWFインターとの対抗戦が行われ、武藤-高田戦を原監督は観戦していた。

 「劣勢からの挽回(ばんかい)なんてプロレス的」と武藤。この日は巨人同様がけっぷちから逆転した。「ジャイアンツラブ」に刺激を受けた「プロレスラブ」の勝利だった。【塩谷正人】