<プロボクシング:WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦>◇25日(日本時間26日)◇ドイツ・クレーフェルト◇9000人

 【ドイツ・クレーフェルト=大塚淳通信員】史上2人目の日本最重量となるミドル級王者誕生はならなかった。同級14位佐藤幸治(28=帝拳)が王者フェリックス・シュトルム(30=ドイツ)に、7回2分46秒TKO負けした。初回から素早い左ジャブで圧倒され、接近してパンチ力を生かそうとしたが、これも鉄壁のガードに阻まれた。7回に左フックでぐらつき、守勢一方となるとレフェリーストップで、プロ初黒星を喫した。佐藤は14勝(13KO)1敗、6度目の防衛に成功のシュトルムは32勝(14KO)2敗1分けとなった。

 佐藤の完敗だった。開始から左ジャブを浴び続けた。先に左を出すが、王者のスピードとパンチの伸びは段違いで的確。何十回となく顔がのけ反り、右目周囲を腫らした。

 陣営は、3回には前へ出ろと指示。接近して連打で打ち合いを誘うが、相手はガードに徹し、それを打ち破れない。チケット完売の完全アウェー。「肉を切らせて骨を断つという気持ち」。佐藤も圧倒的不利は覚悟の上だったが、予想以上に左を食らった。

 7回に、左フックの連発にぐらつく。コーナーで手が出なくなるとレフェリーストップ。同時に田中トレーナーも、ストップを要請するタオルを振っていた。パンチ力に活路を見いだそうとしたが、世界挑戦さえ日本人は3人目のミドル級。日本では最重量でも世界では層の厚い中量級。格が違い、壁は厚かった。

 元アマチュア王者でプロボクサーだった兄賢治さんがセコンドに入った。24日には長野マネジャーが84歳となった。周囲に支えられて実現したチャンスを生かせず。佐藤は「お世話になり、いい報告をしたかったが…。王者は強かった。当たり前の結果で申し訳ない」と頭を下げた。史上初のジム同時最多となる4人王者も夢に終わった。