<全日本:東京大会>◇21日◇両国国技館◇8000人

 全日本の社長・武藤敬司(48)が、リングから東日本大震災の被災者へ激励メッセージを送った。故橋本真也さん(享年40)の長男大地(18)のデビュー2戦目の相手を務めた。ドラゴンスクリューやシャイニングウィザードを容赦なく浴びせ、最後は10分18秒、ムーンサルトプレスからの体固めで完勝。試合後は「大地はもしかしたら、まだ始まっていないかもしれない。ゼロだ。ゼロからやり直せ!」と、厳しい言葉を投げかけた。その声は大地へのゲキのようで、被災地に向けたエールでもあった。

 震災で都内のプロレス興行の多くが自粛される中、全日本は大会を決行した。試合前には選手らがリングを囲んで黙とうをささげ、左腕に喪章を付けて試合に臨んだ。場内の空調は設定温度を下げ、リングを非常用電源車からの投光器で照らすなど、節電にも最大限の配慮を行った。

 武藤は今後、団体の枠を超えた支援の輪を広げていきたい考えだ。「新日本やノアと全日本が組んで、チャリティー大会とかをやりたい。まだ(他団体と)話をしてないけど…」。見切り発車という批判を覚悟の上で、ライバル団体の返事を待つ。【森本隆】