立ち技格闘技K-1の2大興行が今年、地上波ゴールデンから消滅することが16日、濃厚になった。K-1を主催するFEGが経営不振で興行日程も定まらず、大みそかのDynamite!!を中継してきたTBS、WORLD

 GP(WGP)のフジテレビともに、放送できない状況。FEG側はペーパービュー(PPV)など有料コンテンツでの中継を検討しているが、従来の放送権料に見合う収益を得られる保証はなく、K-1存続の危機ともいえる事態に直面した。

 地上デジタル放送へ移行した今年、格闘技界をけん引してきたK-1が最大のピンチを迎えた。03年から大みそかの恒例イベントとして茶の間に定着していたDynamite!!。TBS幹部は「継続して放送したいが、今年は難しい。K-1に代わるものになると思う」と明かした。創設された93年からWGPを放送し、96年以降はゴールデンタイムで中継したフジテレビ側も、現段階でWGP開催が正式決定していないため、放送の予定はない。

 原因は、K-1を主催するFEGの経営不振にある。魔裟斗らスター選手が引退した10年以降、人気低迷とスポンサー収入の減少などで約35億円の負債を抱えた。ファイトマネーの支払いが滞り、東日本大震災の影響で運営資金調達も難航。興行日程が二転三転し、例年より約3カ月遅れの6月下旬、MAX63キロ級日本トーナメントの1大会開催にとどまっている。

 今年のDynamite!!は、4万人収容のさいたまスーパーアリーナを会場に押さえているが、開催規模や概要は未定。WGPも10月中の中国開催を目指して交渉中で、地元局が放送権を持つ方向で調整している。K-1のイベントプロデューサーでFEG代表の谷川貞治氏は「選手への支払いは進んでおり、経営も改善している。大会が決まれば(国内の)テレビ局と交渉していきたい」という。新会社の設立で経営再建のめどが立てば、放送局側と交渉の席に着ける可能性はあるが、現状は厳しい。

 FEG側は地上波に代わり、海外市場をにらんだインターネット動画やPPVなど有料コンテンツによる中継を検討中。選手の知名度や話題性を優先しがちだったマッチメークを、競技性を重視したものに変える方針だ。ただ、Dynamite!!で推定9億円、WGPで同2億円といわれる従来のような放送権料を得られる保証はなく、興行ブランドの低下も懸念される。K-1が存続をかけた重要な分岐点に立たされた。