<プロボクシング:WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇4日◇横浜アリーナ

 WBA世界スーパーフライ級休養王者の清水智信(30=金子)は正規王者のテーパリット・ゴーキャットジム(23=タイ)に9回2分15秒、TKOで敗れて王座から陥落した。

 最後は記憶が飛んだ。テーパリットの左フックからの連打で、清水はロープに追い詰められた。「何が起こったか分からなかった」。ロープダウン気味のところをレフェリーに止められ、9回2分15秒TKO負けを喫した。

 昨年8月、2階級制覇王者カサレスに挑んだ。静恵夫人(30)に遺書まで残すなど、人生を懸けた一戦。真っ向勝負で右眼窩(がんか)底骨折までしながら判定勝ちし、王座を奪取。だが同11月、ケガで年内試合ができないことを理由に、WBAから休養王者に格下げされた。命を懸けて戦った結果の理不尽な決定に、一時は引退を決意した。

 「テーパリットではなく、違うものと戦っている感じもあった」。この日もビジネスにほんろうされた戸惑いは隠せなかったが、ボクサーいや、人間としてのプライドは残っていた。4回、連打で追い込まれたが、逃げずに打ち合いで逆襲。「今までだったら倒れていた」と最後まで意地は見せた。

 「しばらくはゆっくり休みたい」。1階級下げ、フライ級に戻って再起を目指すか、それとも引退か。休養王者の屈辱を受けた清水が再びボクシング人生の岐路に立たされた。【田口潤】