<ノア:ウインター・ナビグ>◇4日◇千葉ポートアリーナ◇7試合◇600人

 ノアの元GHCヘビー級王者小橋建太(45)が今年いっぱいで退団することが4日、明らかになった。現在欠場中の小橋は、9日の東京・両国国技館大会で自分から直接ファンに報告する。また、小橋の盟友の秋山準(43)、後継者と言われる潮崎豪(30)の2人の元GHCヘビー級王者ら5人の主力選手が、来年1月以降の契約延長を拒否。以後フリーとして他団体のリングに上がる。00年6月に旗揚げしたノアに最大のピンチが訪れた。

 かつてGHCヘビー級王座を13連続防衛してノアの絶対王者として君臨した小橋が、ノアを去る。ノア12年半で長期欠場は6回、通算で2116日、約5年10カ月に及ぶ。今年2月にも震災チャリティーの仙台ALL

 TOGETHERで左脛骨(けいこつ)亀裂骨折などの重傷を負い、復帰の見通しは立っていない。

 ノアは09年6月に創立者の三沢光晴さん(享年46)がリング上の事故で死亡後、観客動員が低迷。09年末に本田多聞ら、昨年末には斎藤彰俊らが専属契約を切られた。小橋も昨年9月に副社長を退任、一契約レスラーになった。現役としてリング復帰を目指す小橋と、ノア経営陣との思惑のすれ違いが退団に至った。

 この日の千葉大会で田上明社長(51)は「うちから解雇した事実はない」とし、その上で「小橋が『自分の口からファンに報告したい』と言っている」と9日の両国大会での退団発表を明かした。今後、小橋はフリーとして復帰を目指す。

 小橋退団を受け、秋山も退団の意思を固めた。今年いっぱいの契約の自動延長を拒否。潮崎、青木篤志(35)鈴木鼓太郎(34)金丸義信(36)も続いた。

 この日、退団情報を知った600人のファンが見守る中、潮崎、斎藤と組み、森嶋猛、丸藤正道、杉浦貴の“取締役トリオ”と対戦。18分56秒、斎藤が丸藤をエビ固めで破った。

 いつも通りの激しいファイトを繰り広げた秋山は「『申し訳ないけど、例年通りの更新はしない』と申し入れた。新たな契約の話は、9日の両国大会の後。小橋さんのことは聞いているけど、俺が口を出すことじゃない。それより、たくさん集まったね」と、20人を超える取材陣を見て苦笑した。潮崎も「契約に関しては12月中に交渉する」と話した。

 田上社長は「その5人からは『契約は今年いっぱいにしてくれ』と言われているが、まだ交渉中」。秋山らは、来年1月からはフリーとして全日本のリングに登場する見込み。かつての古巣で、小橋の復帰を待ち続けるつもりだ。【小谷野俊哉】

 ◆小橋建太(こばし・けんた)1967年(昭42)3月27日生まれ、京都府福知山市出身。87年に全日本入門。88年デビュー。96年初の3冠ヘビー級王座。00年ノア旗揚げ参加。03年GHCヘビー級王座獲得。得意技は剛腕ラリアット、逆水平チョップ。186センチ、115キロ。