最後に横綱への望みをつないだ。大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が横綱日馬富士を押し出して13勝目を挙げた。今場所での横綱昇進こそかなわなかったが、日本相撲協会幹部は2場所連続の「13勝」を高く評価して、名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)への綱とり継続を明言。30代最初の場所で再び綱に挑む。

 望みがつながった。その瞬間、稀勢の里は大きく息を吐いた。土俵下でも再び深呼吸。それだけの緊張感を乗り越えた。「また来場所につながる相撲が取れました」。綱とり継続を意味する13勝。自らの夢を、振り出しにはさせなかった。

 二所ノ関部長は「先場所も13勝して今場所も13勝。横綱にしか負けていない。安定している。ただ、優勝がない。とにかく優勝だね」。名古屋場所の綱とりに勝ち数の条件はない。「初優勝」だけを昇進の目安とした。