若貴フィーバーに熱狂した中野新橋から相撲部屋がなくなる-。東京・中野区にある貴乃花部屋が、6月中にも江東区内に転居することが29日、分かった。貴乃花親方(43=元横綱)が既に、両国国技館から30分圏内に十数件の候補地を物色。このほど江東区内に絞り込み、行政との最終調整がつき次第、移転する。

 03年1月の引退時から貴乃花親方は、父で師匠の故二子山親方からの助言もあり、両国近辺に部屋創設地を物色していた。だが、部屋継承予定者だった兄勝氏(元横綱3代目若乃花)の協会退職で中野に残留。04年2月1日付で、貴乃花部屋として継承していた。

 82年2月の藤島部屋創設から、一時は幕内10人を含む50人の力士を擁し、兄弟横綱も輩出。そんな栄華を誇った人気部屋は一時、関取不在の時期もあったが、現在は力士総数12人の小部屋ながら幕内貴ノ岩、夏場所新十両の佐藤と2人の関取を抱えている。

 転居決断の理由は、力士の東京場所での通勤時間の負担軽減。3月の理事長選で敗れ心機一転の思いも強く「ここは実家であり本籍地。育ててもらいお世話になった地で、自分のことだけを考えれば」と残留の思いを話す一方で、同親方は「栄光もあったが若い衆を連れて何の雑念も入れず、一からスタートしたい。何よりの理由は両国に通う弟子たちのこと」と話す。防音、耐震性の問題などで破談を重ねたが、江東区内で決まった。部屋開きは行わず、稽古始めは8月になるという。