十両安美錦(38=伊勢ケ浜)が、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)を新十両で迎える貴源治(19=貴乃花)に胸を出した。

 安美錦といえば、横綱貴乃花の最後の相手。03年初場所8日目の初対戦で送り出しで破り、自身初の金星を挙げた。敗れた貴乃花はその日を最後に引退した。

 その安美錦が、巡業部長として土俵下で見守る貴乃花親方(元横綱)の前で、貴源治を指名した。過去からつながるそんな“ドラマ”には「無理やり、つなげなくていいよ」と苦笑いしたが、約6分間鍛えて、背中を真っ黒にさせた。

 「あれは貴源治だったの? (双子の兄の貴公俊と)どっちか分からなかったよ」とおどけたが「ぶつかり稽古に胸を出そうと思っていて『いい稽古しているな』と言われていたからね。稽古していないやつに声をかけたって、時間の無駄になっちゃう。強くなってほしいなと思って、声をかけているわけだから、後は自分で頑張ってくれればいいよ」。

 関取最年長力士からのエールだった。