平幕宇良(24=木瀬)が11勝しながら、三賞を逃した。超低空の立ち合いから予想不能の取り口で連日、場内を沸かせた。協会による携帯電話投票アンケート「敢闘精神あふれる力士」で15日間中8日で1位。宇良は期待を裏切られ「技能賞、欲しかったです」とうなだれた。「宇良選外」に首をかしげる力士も多く、元横綱でNHK解説者の北の富士氏が「11番勝って(三賞を)あげないの? そりゃないよ」と同情する一幕もあった。

 三賞選考委員会はこの日午後、幕内の取組前に行われた。宇良は技能賞候補に挙がったが、満票19票で得票4票と過半数を取れなかった。親方衆の中には宇良の取り口を技能でなく“異能”とする声があった。

 とはいえ幕内2場所目で11勝。千秋楽の大翔丸戦は、立ち合いで右足を引いて後ろに下がる“想定外”の動きを見せ、すくい投げで快勝した。7月の名古屋場所は、西前頭10枚目から同3枚目前後に上がり、三役と対戦する可能性もありそうだ。小柄ながら柔軟性、素早さなどの身体能力を生かし、戦略性の高い相撲で上位陣に一泡吹かせれば…。今度こそ、有無を言わせぬ評価を勝ち取る。【加藤裕一】