しこ名で相撲ファンの注目を浴びる、新十両で西十両14枚目の翔猿(とびざる、25=追手風)だったが、関取デビューは黒星となった。

 再十両で、突き押しに定評のある東十両14枚目の阿炎(あび、23=錣山)と対戦。187センチの長身から繰り出す相手の突きに、ズルズルと後退。重心を落とし何とか潜り込もうとしたが、相手の圧力に屈し、突き倒しで土俵下まで吹っ飛ばされた。「相手が変化してくるんじゃないかと、警戒して(相手を)見ていってしまった」と、立ち合いを悔やんだ。

 猿のごとく翔(と)ぶように土俵狭しと動き回る相撲を理想にする。そんな相撲の特徴から、自ら希望して命名したしこ名も「いいですね。気に入ってます」と黒星発進にも落胆の色はない。逆に「(負けて)飛びましたね、土俵下に」と笑いながら自虐的なジョークを言うほど、切り替えは出来ている。この日、関取の特権とも言える、土俵入りも初めて行ったが、所作を終え土俵を回り、土俵下に下りる場所を間違えてしまったという。それも笑みを交えて振り返るほど、緊張感で体がガチガチになることもなさそう。関取デビューこそ、後退する動きしか出来なかった。2日目からは前後左右に円運動と、土俵狭しと暴れ回る。