平幕の正代(時津風)を押し出して1敗を守った大関豪栄道(31=境川)について、協会幹部は復調への兆しを感じ取ったようだ。

 前日までとは見違えるような攻撃一辺倒の押し相撲に、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「落ち着いて足を前に出していた。ちょっと余裕が出てきたのかな」と評価。相撲の基本ともいえる立ち合いについても「今日みたいに、きちんと手を着くと(体勢が)低くなる」とその姿勢からも上昇気配を感じ取った様子。かど番脱出まで、あと2勝。場所を盛り上げる優勝争いのけん引役については「まず8番、勝ってからだろう。それまでは(そこまで)考えられないだろう」と過度な期待は控えつつ「勝ち越しが見えてきて、だいぶ楽になったのでは」と心中を察していた。

 幕内後半戦の審判長を務めた、審判部の藤島副部長(元大関武双山)も「今場所一番の会心の相撲。優勝した時のような圧力があった」と、全勝優勝したちょうど1年前の姿と重ね合わせた。かど番だけに「まずは通過点である第一目標の勝ち越しに、早く到達したいでしょう」と察し、その後の優勝争いには「1敗とは言え、きのう(6日目)までの内容ではどうかな? と思ったけど、今日は良かった。(優勝が)見えてきましたよ」と今後に期待した。