西前頭3枚目の千代大龍(28=九重)がまさに“らしい”相撲で、東前頭3枚目の阿武咲(21=阿武松)を1敗から引きずり下ろした。立ち合いで右から張って、かち上げて突く。そして、間髪入れずにはたき込み。流れるような取り口に「完璧です」と自画自賛した。

 思い描いた通りの相撲。突き切って勝とうなどとは、最初から思っていなかった。「あれで、行けるだろうと突いていって、いなされたらたまったものじゃない。2、3発突いたら、引こうと思っていました」。

 会場入りする際、同部屋の千代丸と阿武咲の動画を何度も見返していた。以前、千代丸が阿武咲に連勝していたときの話を思い出したからだ。「2、3回突いてから、引いて勝っていた。そのイメージを持って取れましたね」。してやったりだった。

 これで、4場所連続の勝ち越しに王手をかけた。優勝争いでも、トップの豪栄道に1差でつく。だが、そんなことはおかまいなし。「11番勝ったら考えます。でも、まだ顔じゃない(身分不相応)っすよ」。今の願いは勝ち越して、NHKのインタビュー室に呼ばれること。「久しくインタビューをやっていない。行ってみたいですね。久々のインタビューで自分をアピールしたい」。ふてぶてしく笑い飛ばした。