大相撲の横綱日馬富士の暴行問題で、負傷した平幕貴ノ岩の師匠、貴乃花親方(45=元横綱)が誤った情報を指摘した。九州場所14日目の25日、日本相撲協会の役員室に呼び出されて対応。貴ノ岩と連絡を取った元旭鷲山のダバー・バトバヤル氏(44)がテレビやフェイスブックなどで発信している貴ノ岩発言が正確でないと説明した。協会から貴ノ岩への聴取は、引き続き拒否した。

 貴乃花親方が今場所初めて、役員室に2日連続で足を踏み入れた。前日24日は2度の呼び出しで計5分間だったが、この日は1度だけで午後2時4分から9分間。八角理事長(元横綱北勝海)ら相撲協会執行部との話し合いは、何も進展がなかったこれまでとは違った。貴ノ岩への、協会の危機管理委員会による事情聴取を受けることには拒否している貴乃花親方だが、この日は元旭鷲山について新事実を述べた。元旭鷲山がテレビやフェイスブックで代弁している、貴ノ岩のコメントは誤りと証言した。

 貴乃花親方は無言だったが、報道陣の取材に応じた春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)が、役員室でのやりとりを明かした。同部長は、元旭鷲山が貴ノ岩と電話で連絡を取ったことは事実と認めたが「(元旭鷲山が話している)貴ノ岩の話は不正解。貴乃花親方は2人を会わせることはないと話していた」と説明した。同部長はまた、どこが誤りか詳細は明かさなかったが少なからず「不正解」な部分を含むと明かしていた。

 元旭鷲山はフェイスブックなどで、貴ノ岩から聞いた話を代弁する形で「40~50回殴られた」や「片方の耳が痛くて、頭も痛くなった」などと説明した。警察の事情聴取にだけ応じ、これまで表に出てこなかった被害者側の新証言。来日後は次から次へとテレビ番組に出演し、日馬富士側との発言の食い違いが目立った。そんな中、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏は、元旭鷲山の発言に「嘘つけ!」と反発するなど、場外戦の様相も呈していた。

 協会は引き続き、危機管理委員会による貴ノ岩への事情聴取を希望したが「貴ノ岩の状態が良くないという理由で応じてもらえなかった」(春日野広報部長)という。場外戦の情報は提供されたが、本筋では協会への対決姿勢を崩さない貴乃花親方に、協会は今後も協力を要請していく。