大相撲の横綱稀勢の里が29日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で今年の稽古納めを行い「いい勉強、いい修行をさせていただいた。いい1年だったと思う」と、昇進を果たした後で負傷に苦しんだ激動の2017年を総括した。

 今年最後の稽古は気合が入っていた。2日続けて大関高安と30番。最近の幕内力士では多い番数で、左四つでの寄りや体を丸めた突き、押しから26勝4敗と圧倒した。

 「体の調子が良くなっている。稽古をしてくれる相手がいなければ成立しない」と弟弟子に感謝。仕上げのぶつかり稽古でも胸を借り、10分以上も転がされた。荒い息づかいで全身は砂だらけとなり「また昔を思い出してね」と充実感に浸る。

 密度の濃い1年だった。1月の初場所で初優勝と同時に綱とりも成就。3月の春場所は終盤に左上腕などを痛めながら強行出場し、奇跡の逆転優勝を遂げた。だが翌場所から4場所連続休場中で、初場所(来年1月14日初日・両国国技館)以降の成績次第では進退が問われる。

 ただ一人の日本出身横綱は絶大な人気を誇り、元気な姿を待ちわびるファンも多い。「また優勝を目指す。このけがが良かったねと思えるように、来年もいい年にしたい」。逆境に立つ男は復活を信じ、新春を迎える。