4日に京都府舞鶴市で行われた大相撲春巡業で、多々見良三市長(67)が土俵で倒れた際、救命措置の女性が土俵から下りるようアナウンスで促された問題で春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)が5日、姫路市の巡業先で事情説明した。

 春日野部長はアナウンスの若手行司について「動揺していた。頭が『土俵に女性が上がっている』との思いでいっぱいになったらしい」と話した。ただ人命に関わる事態で「土俵=女人禁制」の“角界の常識”にとらわれたことは「不適切でした。本場所でも起こりうることなので教訓にしたい」。若手行司は「僕は何も言えない」と話した。

 5日は舞鶴巡業を担当した松ケ根親方(元前頭玉力道)が両国国技館内の協会で八角理事長(元横綱北勝海)らに経緯を説明。女性は市長かかりつけの病院の看護師だという。報告を受けた尾車事業部長(元大関琴風)によると、理事長は市長へのお見舞いと女性へのお礼と謝罪を直接行う意向を明らかにした。その上で「不適切なアナウンスをおわびしたい。どんな時も人命が第一」と、あらためて謝意を表明した。市長はくも膜下出血で手術を受け命には別条ないという。

 尾車部長は市長が搬送された後、協会関係者が土俵に塩をまいたとされることについて、力士がけがをした後などにまく慣例だと強調。「女性蔑視のようなことは全くない」とした。