大相撲の横綱白鵬(33=宮城野)が10日、長野・伊那市巡業に参加し、9日に76歳で死去した父ジジド・ムンフバト氏についてコメントした。

 白鵬は神妙な面持ちで「自分の与えられた仕事をまっとうするつもりで土俵に上がった。この一週間で急に弱って旅立ってしまいました」と話した。

 昨年10月に肝臓がんが見つかり、11月の九州場所後に日本に呼んで治療した。今年1月まで日本に滞在。母からは「いい親孝行をしてくれた」と感謝されたという。

 ムンフバトさんはレスリング選手として1964年(昭39)年東京大会から五輪に5大会連続出場。68年メキシコ大会では87キロ級で銀メダルを獲得した。同国初の五輪メダリストで、年に1度開催されるスポーツの祭典「ナーダム」では、モンゴル相撲で6度の優勝を果たした国民的英雄。07年に日本と同国の国交樹立35周年を記念して東京都で講演するなど、たびたび来日していた。白鵬が20回目の優勝を飾った11年秋場所では初めてパレードの車に一緒に乗り「おやじに認めてもらえた」と語るなど常に尊敬し、目標とする人だった。

 白鵬は悲しそうに「親を超える子はいないと思います。自分にとっては父親だけど、世界の若いレスリング選手にとっては師匠であり先生だった」と悼んだ。

 白鵬は11日に故郷モンゴルへ帰国。(長野県東御市)から14日(神奈川県藤沢市)までの春巡業4日間を休場した後、15日に再合流する。