日刊スポーツが行った人気力士アンケート「第7回大相撲総選挙」は、横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が7連覇を果たした。総数5万1568票のうち、3989票を獲得。7場所連続休場中とはいえ、復活を願うファンの声は根強く「不動の横綱」を死守した。2位は初参戦ながら、師匠の錣山親方(元関脇寺尾)譲りの突っ張りと自由な発言が魅力の阿炎が大躍進。3位は安定した人気の遠藤が入った。

 久しぶりの笑顔だった。7年連続の総選挙1位。休場中でも、変わらず応援してくれるファンの存在を再確認した。稽古後の土俵脇でトロフィーを手にすると、自然と表情が柔らかくなった。「非常にありがたいですね。やっぱり1番だとうれしい」と、かみしめるように話した。

 名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて、今月5日に稽古を再開して以降、その様子は報道陣に非公開だった。復活に向けて集中力を高めてきた。一方で、過去6度すべて“センター”を務めてきた総選挙への思い入れも人一倍。ファンへの感謝を伝えたい責任感から、特別に今回の取材だけ稽古場で応じ、夏場所前以来、約1カ月ぶりとなるまわし姿を披露した。弟弟子で昨年3位の大関高安が「自分は8位ぐらいですか? 当たっちゃった!」と驚く姿に、今年一番ともいえる笑顔も見せた。

 ファンもそんな笑顔を、もう1度見たいと思っている。「世間の風当たりは強いですが、そんなものを吹き飛ばす大復活を願っています」(40代男性)「本人が諦めてないのに、ファンが諦めるわけにはいかない」(30代女性)「どんなに休場が続こうと、どんなに待たされようといつまでも大好きです」(30代女性)という声が届いた。

 安易な見通しは語ってこなかった稀勢の里は、こうしたファンの期待に「コメントしづらいな」と苦笑いも浮かべた。それでも「何とか期待に応えたいですね」と前を向く。ファンの声を力に変えることを誓っていた。【高田文太】