横綱稀勢の里戦で、小結玉鷲(33=片男波)が幕内屈指のパワーを見せつけた。力強い当たりから強烈な左はず押しを生かし、あっという間に横綱を土俵外に押し出した。「いや~、本当にいい相撲がとれた。今までが何だったんだろうと思うくらいだよ」。初日から7連敗。マグマのたまった休火山が、爆発した。

場所前に行われた二所ノ関一門の連合稽古では、稀勢の里に圧倒された。「その時から、どうしたらいいか考えていた」。そんな時、高田川親方(元関脇安芸乃島)から助言をもらった。「左はずが、効くと思うよ」-。この日はそれを実践。「狙ってました」と秘策を見事に決めた形となった。

中日での初白星。「今朝起きた時に“何か、自分は1週間遅れてるな”と感じた」。初日は巡業疲れが残っていたといい、体調面で爆発の予感があった。おりしも自分の4番前、自分と同じく7連敗中の勢が御嶽海に勝った。「勢が勝ってね。“やばい、勝たなきゃ”と思った。いい影響でしたよ」と話していた。