13場所ぶりの関取復帰を有力にしている、関脇経験者で西幕下筆頭の豊ノ島(35=時津風)が、今場所の5番相撲に登場。4戦全勝同士の対戦で東幕下5枚目の極芯道(22=錦戸)に押し出しで敗れ、今場所初黒星を喫した。

くしくも、極芯道とは今年5月の夏場所、やはり4戦全勝同士で9日目に対戦。その場所、東幕下14枚目だった豊ノ島は、残り3連勝なら再十両だったが押し出しで敗れ、その場所での昇進決定はお預けにされていた。

その時は2分半を超す相撲で、なかなか攻めてこない相手に焦れ、引いたところで押し出された。その一番を再現するかのように、この日も互いに頭を付け、手四つの体勢で1分半を超えた。同じように攻め手を欠き、体勢を起こされたところで押し出された。

夏場所と同じ相撲で…と問われると、苦虫をかみしめるように「向こうの相撲を取ってしまった。苦手な相撲だから…」と呼吸を整えながら話した。「長くなったら無理だなと、取る前に思ってたのに長くなっちゃった。ああなったら行ける方法が…。中に入ろうと思っても向こうも重いし、あり地獄」と苦杯をなめた一番を表現した。

6日目に4連勝を決めた際、再十両が決まったわけではないと知りながら、思わず花道を引き揚げながら号泣してしまった。自宅に帰ると沙帆夫人から「まだ決まったわけじゃないのに、涙は早い」と言われた。「それが、こういうこと(この日の黒星)なんです。あんなに泣いている場合じゃなかった。叱咤(しった)激励されました」と豊ノ島。気を抜いたわけではないが「少し緊張感が和らいだ」と話すように、ほんの少しの心のスキと、苦手意識も加わり黒星につながってしまった。

本人が重々承知のように、再十両は確定していない。最近5年の西幕下筆頭で4勝3敗だった力士は13人いたが、十両昇進は11人。残る2人は翌場所、東幕下筆頭に番付“半枚”上がっただけで、昇進は見送られた。いずれも昇進枠が2で、他に星を伸ばした力士が優先された。今後の十両下位や、幕下上位の星取もあり気は抜けない。逆に5勝2敗だった西幕下筆頭の5人は、いずれも上がっており「昇進確率100%」。何としても残り2番で1つは勝って、昇格確実ランプをともしたいところだ。