関脇逸ノ城(25=湊)が大関高安(28=田子ノ浦)に敗れ、今年6場所の中で唯一の負け越しが決まった。小結貴景勝(22=千賀ノ浦)がすでに勝ち越しを決めているため、来場所の関脇からの陥落も決定的となった。

はさみで各所に施したテーピングを切り外す手が、たびたび止まった。支度部屋では放心状態。息を切らしながら「くそっ…」と小さく吐き捨てるように言った。高安を押し出す勢いだったが、土俵際ではたきを食らい、ともに土俵の外へ飛び出した。軍配は高安。同体と物言いがついたが、協議の結果、高安の足が残っており行司軍配通りとなった。どちらが先に出ていたかは「全然分からなかった。見えなかった」とぼうぜんとしながら語った。

今年唯一の負け越しとなった。小結だった初場所で9勝を挙げ、関脇に昇進した春場所から3場所連続で8勝。しかし今場所は2日目から5連敗を喫し、悪い流れを断ち切ることができなかった。土俵で打ち付けた左膝に関しては「大丈夫」と逸ノ城。放心状態のまま支度部屋を引き揚げた。