福岡出身のご当地力士、西前頭7枚目松鳳山(34=二所ノ関)が大歓声の中で勝ち越しを決めた。

東前頭5枚目千代大龍に土俵中央で頭を下げられ、腰を引かれた動きが止まった。「頭を挙げてくれないと話にならないから」。うつむく相手の顔へ、右でアッパー風の張り手を放ち、張り合いのスキを突いて、完全な2本差しに持ち込み、前に出て来る相手と、体を入れ替え寄り切った。

「どうしても勝ち越したかったんでね。場所前にじいちゃんが亡くなったし…」。秋巡業中の10月半ば、母方の祖父が他界。90歳だった。「もともとどうだったかはわからないけど、俺が相撲を始めてからは、よく見てくれていました」。昨年の九州場所も観戦に来た。6月に見舞ったのが最後になった。

祖父にささげる節目を迎え、残り3日。来年の三役復帰を見据える34歳は、初場所で「横綱、大関に当たる位置まで持って行きたいですね」と言い、さらに白星を積み重ねるつもりだ。