大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が今日13日、運命の初場所初日を迎える。12日、東京・両国国技館で行われた土俵祭に出席。17年春場所で横綱に昇進以降、初日に勝った2場所はともに2ケタ白星を挙げ、敗れた5場所はすべて途中休場している。2月18日には出身の茨城・牛久市で郷土後援会の激励会が予定されるが、皆勤が開催の条件。進退場所を占う初日は、小結御嶽海と対戦する。

勝てば2ケタ白星100%、負ければ途中休場100%-。両極端のデータが残る初日を前に、稀勢の里は「いよいよですね」と、静かに気持ちを高ぶらせた。初場所15日間の安全を祈願する土俵祭の最後には、他の力士が足早に帰途に就く中、土俵を見つめて一呼吸。その後、地下駐車場から車に乗り込んで外に出ると、ほどなく何かを暗示するようにこの冬、初雪が降り始めた。

昨年11月の九州場所は、横綱として87年ぶりに初日から4連敗(不戦敗を除く)を喫した。横綱審議委員会(横審)から史上初の「激励」を決議され、奮起を促されている初場所。進退が懸かるだけに、今場所で成績不振の場合は、途中休場ではなく引退を余儀なくされる。横綱昇進後、初日の結果がその場所の成績を左右してきたが「全部大事だと思うし、しっかりと流れをつくりたい」と話した。

昨年は皆勤1場所。新年を迎え「ここからという気持ちはある。いい年にしたい」と期するものがある。この日も「自分を信じて」と声援を送られるなど、復活を信じるファンに応えたい思いがある。2月18日には、牛久市で郷土後援会による激励会を予定。ただし日本相撲協会から、今場所の皆勤が条件と提示された。昨年は休場続きで開催できず、近隣の茨城・土浦市で行われた12月の冬巡業も不参加。もう裏切るわけにはいかない。

初日の御嶽海は過去6勝1敗と合口の良い相手だ。だが唯一敗れている一昨年名古屋場所は初日の対戦。「順調にやれた。しっかりやるだけ」と、良いイメージも悪いイメージも受け入れ、臨戦態勢は整った。初雪は稀勢の里の白星を暗示したものなのか-。平成最後の東京場所初日の結びの一番は、現時点で平成最後の和製横綱の、命運を占うことになる。【高田文太】