横綱白鵬(宮城野)が、34歳の誕生日を自ら祝う白星で、連勝発進した。西前頭筆頭の遠藤を冷静に押し出す快勝。誕生日に取組を行うのは4年ぶりだが、07年7月の名古屋場所で横綱に昇進以降、これで6戦無敗となった。東日本大震災が発生した日でもあり、横綱としての運命、責任も感じた日。平成最後の本場所で、3場所ぶり42度目の優勝への思いを強めていた。

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幕内在位が現役で最も長い約15年の白鵬が、若々しい動きで白星をつかんだ。けんか四つの遠藤に、運動量で上回って左を差させない。さらに背中を見せた隙を逃さずに距離を詰め、難なく押し出した。34歳初日は、4年ぶりの誕生日の取組となったが「久しぶりだね。勝って、自分にいいプレゼントができた。ホッとした」と、笑顔で話した。

16、17年は誕生日に春場所が始まっておらず、取組がなかった。昨年は全休。最近3年間はなかったが、横綱昇進以降、これで6戦全勝と抜群の強さを誇る。東日本大震災と重なった11年は八百長問題の影響で春場所が中止。同6月に被災地巡回慰問した時のことは「今でも強く覚えている」という。翌12年からは4年連続で誕生日に勝ち、うち3度優勝。3月11日が誕生日だけではなく、被災地に思いをはせる日となり、不祥事からの浄化を再認識させられる日となった。「宿命というか、やらないといけないというのはある」。横綱の責任を最も感じる日だからこそ負けられない。

34歳の1年は「ケガなく過ごしたい」という。目標の1人の元横綱千代の富士が、35歳5カ月で最後に優勝しており、これを上回ることが「モチベーション」と1つの目標だ。最大の目標の20年東京オリンピック(五輪)開催時を現役で迎えること。「5、6年前は冗談で言っていたけど冗談じゃなくなってきた」。東京五輪直後の20年9月秋場所で優勝すると、千代の富士を上回る35歳6カ月での優勝。血管年齢は25歳とあって「まだ、おじさん扱いはされたくないよね」と笑う。今場所は平成最後の本場所。賜杯への意欲は1つ年を重ねてなお強まっている。【高田文太】