既に来場所の新入幕を決定的にしている東十両筆頭の志摩ノ海(29=木瀬)が、2場所連続の十両優勝を決めた。

2敗の志摩ノ海は西十両8枚目の千代の海(九重)と対戦。激しい突き押しの応酬で途中、左目に相手が突いた指が当たるアクシデント。志摩ノ海も指が千代の海のマゲにかかるなど、激しい攻防で最後は土俵際、体を投げ出すように押し込んだ。相手も逆転の突きで微妙な勝負だったが、物言いは付かず押し出しで12勝目(2敗)をマーク。後続の隆の勝(千賀ノ浦)に2差をつけたまま、千秋楽を待たずに優勝を決めた。

2場所連続の十両優勝は、14年名古屋場所-秋場所の栃ノ心(現大関)に続き平成で9人目。「なかなか光栄なこと。いい相撲で優勝を決められて良かった。頭を上げずに押し相撲に徹したのが今場所は良かった」と喜びとともに、今場所を振り返った。

先場所も東十両11枚目で13勝を挙げて優勝。番付運に恵まれれば、新入幕の可能性もあった。そこは期待していたというが「東筆頭ということで勝ち越せば上がれる。大阪で、しっかり勝ち越して決めてやると、逆にモチベーションになりました。早い段階で勝ち越して確定しても、残りをしっかり取ろうと。気持ちがブレなかった」と気を緩めることなく全うした。近大出身で大阪は「地元みたいなもの」と、声援も力に変えた。

近大から入門し、4年をかけて関取の座を確保。だが4勝11敗ではね返され、膝のケガもあり陥落後は幕下で9場所を過ごした。ちょうど1年前の春場所が再十両で、2度の十両優勝を自信に、来場所は待望の幕内の土俵が待っている。

関取寸前から序ノ口へ、関取から幕下へと、2度のケガによる挫折も「親方や周りの人に支えられて、腐らずにやってきたのが良かった。遅咲きといっても安美関(安美錦)や30代後半まで頑張っている尊敬できる人もいる。そこは見習いたい」と飛躍を誓う。場所後の春巡業は、地元の三重・伊勢神宮の奉納相撲から始まる。「少年相撲で稽古した懐かしい場所。そこに凱旋(がいせん)できるのがうれしいです」と言って目を細めた。