新大関貴景勝(22=千賀ノ浦)が夏場所5日目の16日、日本相撲協会に「右膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷にて、今後約3週間の加療を要する見込み」との診断書を提出し、休場した。再出場しない見通しで、このまま負け越せば7月の名古屋場所はかど番で迎える。

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貴景勝のケガは大関昇進による肉体的、精神的疲労が積み重なって起きたものではないか。御嶽海戦を見る限り突発的に何かが起こったとは考えにくい。自分も大関に上がるころ、支度部屋ですり足をやっている時に筋膜が破れた経験がある。出番前にテレビのクルーが支度部屋に入れた時代でカメラに追われたり、場所前も行事が重なり知らず知らずのうちに心身の疲労が蓄積された覚えがある。そんな時、何でもないような動きでケガをした。貴景勝も同じような状況だと思う。普段から稽古はよくやっている。これはもう不運としか言いようがない。ここは中途半端でなくしっかり治すこと。普段は取れない休養を取れたと思い、自分の相撲を見つめ直す時間もできたとプラスに考えればいい。上がりっぱなしのエレベーターなどない。下ったり停止した後、いかに再び上れるか。ケガを克服すればひと回り成長できる。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)