西十両10枚目で関取衆最年長の安美錦(40=伊勢ケ浜)が、元関脇寺尾に並ぶ、歴代3位の通算出場1795回(不戦敗は休場とする)を白星で飾った。

美ノ海に、立ち合いで頭から当たると、前のめりに押し込んできた相手を突き落とし。土俵際でヒラリと、最後は右足1本で残る軽快な動きを披露した。相手を呼び込む形となり「ちょっと悪いはたきだった」と反省したが「立ち合いはよかった。片足で残れてよかった」と、ホッとした表情を見せた。

通算出場歴代1位で1891回の元小結大潮、同2位で1871回の元関脇旭天鵬に次ぎ、寺尾と並んだことについては「寺尾さんは『鉄人』と呼ばれ、ずっと出続けていた。そういう人に並ぶことができた。オレは全然鉄人でもないし、体もボロボロだけど、並べたのはうれしい。いい励みになった。今までやってきたことの結果。あとの2人(大潮、旭天鵬)もよくやってるよね」と、笑顔を交えて振り返った。

これで3連勝で5勝2敗とした。先場所は8勝7敗で終え、4場所ぶりに勝ち越したことで好転し始めている。長く現役を続ける現状について「変えることも大事だし、変えないことも大事。もういい年齢だし、稽古しなくてもいいだろうと思うけど、やることをやらないといけない。やり方を変えながら、柔軟にやっていくことが大事」と語った。さらに集まった報道陣に向かって「オレは、すべての人の言葉が参考になると思っている。皆さんの言葉もそう。誰の言葉でも素直に聞けるようにしている。そういうところが大事だと思っている」と話し、ほほ笑んだ。最後も「年を取ったからといって、偉そうにするのはよくないよね」と話すと立ち上がり「じゃあ、前、失礼します」と、自身よりも年下も多く含まれる報道陣の前を、腰をかがめながら引き揚げ、笑いを誘っていた。