大相撲の新大関貴景勝(22=千賀ノ浦)が、夏場所(東京・両国国技館)を9日目から再休場することについて、師匠の千賀ノ浦親方(58=元小結隆三杉)が20日、東京・台東区の千賀ノ浦部屋で、朝稽古後に取材に応じた。貴景勝は4日目の小結御嶽海戦で右膝関節内側側副靱帯(じんたい)を損傷し、約3週間の加療を要するとの診断書を提出して休場したが、8日目に再出場した末、小結碧山の立ち合い変化に対応できず、わずか0秒8で敗れていた。その取組後の前日19日の午後11時30分ごろに、電話で師匠から「休場しよう」と切り出したところ、貴景勝も即座に「はい、分かりました」と返答し、再休場となったことを明かした。

碧山戦で故障が悪化したということはないが「昨日(8日目)の相撲内容では相撲は取れないと判断した」という。打ち出し直後に部屋で直接会った際には「迷いがあった」と、切り出せなかったが、深夜に考えがまとまって、この日の再休場に至った。千賀ノ浦親方は「本人も1番取ってみて納得したと思う。ああいう相撲しか取れないなと。初めての経験。実際に再出場したことで自分でも納得した」と、両者の心の内の変化を交えて内情を明かした。

ファンや相撲協会には「看板力士である大関が、出場したり休場したりするのは非常に申し訳ない思いがあります」と、謝罪した。それでも「再出場は間違っていなかったと思う。言い方はおかしいが、こういう経験をして、逆によかった。本人は今でも土俵に上がりたい気持ちはあると思う。でも責任も感じている。『心苦しい』というようなことも言っていた。とにかく早く治して、治療に集中して、さらに強くなった貴景勝のいい相撲を見せたい」と、心身ともに一回り成長することを期待していた。また、再々出場の可能性については「一切ありません」と話していた。