大相撲の大関栃ノ心(31=春日野)が「左肩腱板断裂、左肩棘下筋筋断裂、右膝前十字靱帯(じんたい)再建後再断裂、右膝半月板損傷、右変形性膝関節症で約1カ月の加療を要する」との診断書を提出し、名古屋場所6日目の12日、休場した。同場所は初日から5連敗していた。

この日、愛知・春日井市の部屋の朝稽古には姿を見せず、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が報道陣に対応した。同親方によると、古傷の右膝の痛みが最大の要因だという。「大関という地位は、勝ったり負けたりを望まれる地位ではない。勝ち越しギリギリを望まれているわけではない。頑張っているけど踏ん張れない。半分も力が出ない。(5日目までは)惜しい相撲じゃない。圧倒的に負けている。限界が来た」と説明。今後の復調の見込みが薄いと判断し、治療に専念することを選んだ。

前頭朝乃山に完敗した前日5日目の取組後、師弟で話し合った際に栃ノ心が「力が入らない」と話し、前日のうちに6日目の休場を決断したという。4日目に竜電に敗れた後の話し合いでは「もう1番取らせてください」と切り出していたが、5日目はむしろ一方的な負け方だった。春日野親方は「本人も残念だし、私も申し訳ない気持ちでいっぱい。1番でも勝てば良い薬になるかと思ったが、場所はそんなに甘くなかった」と話し、ファンに謝罪した。

栃ノ心は右膝以外にも、場所前に負傷した左肩痛なども重なっていた。春日野親方は「肩が痛くなったのも、すべて右脚からきている」と、全身のバランスを崩していたと分析。手術の可能性については「(靱帯=じんたいなどを)切ったというわけではないから」と否定した。また今後の再出場の可能性についても「どう考えたって、劇的に良くなる膝ではない」と、否定的に話した。名古屋場所後の夏巡業も未定という。

栃ノ心は前日5日目の取組後、師匠に対して「さらに鍛え上げて頑張ります」と話したという。関脇に転落していた5月の夏場所で10勝を挙げて、今場所から大関に返り咲いた直後だが、再出場の可能性は低いだけに、来場所はかど番となる見込みだ。6日目の対戦相手の阿炎は不戦勝となる。