大関経験者の東幕下59枚目照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、引退する意向を示した兄弟子、安美錦(40=伊勢ケ浜)の決断に衝撃を受けた。

この日、6番相撲で西幕下57枚目狼雅(20=二子山)をきめ出しで破って5勝目。今年の春場所、序二段の優勝決定戦で敗れた相手に完勝した。復帰3場所目。代謝が良くなったのか、場所が始まってから10キロも体重が落ちたという。「びっくりしてる。安美関に『体を動かせよ』と言われていて、ちょっと動かしてみたりしている。いくら痩せても筋肉が落ちたらしょうがないので、脂肪を落とすのがベストだと思っている」。

その安美錦が16日に現役引退を決めた。「(休場中も)稽古場に降りていたから出るのかと思っていた。びっくりした」と、驚きを隠さなかった。思い出や指導してもらったことは「ありすぎて分からない」と照ノ富士。自身も大きなけがを負って大関から序二段まで番付を下げたが、度重なるけがと戦いながら関取として奮闘する兄弟子の姿に勇気づけられた。「けがをしても、もう一度やろうと思えたのは安美関のおかげ」。今後は同部屋付きの親方として後進の指導にあたる見込みで、照ノ富士は「(引退は)もちろん寂しいけど、現役のときよりいろいろ教えてくれるんじゃないかと思っている。現役のときは自分のこともあったはずだから」と、笑顔を見せた。