静岡・焼津港中で昨夏の全国中学校相撲選手権個人、団体2冠に輝いた西序二段66枚目の吉井(15=中川)が、6勝1敗で今場所の取組を終えた。

デビュー2場所連続勝ち越しの上、6勝したことで秋場所での三段目昇格の可能性も浮上。しかし、吉井は「相撲内容はまだまだですが、場所前の目標をクリアできたことは、ホッとしています」と冷静でいる。

この日の7番相撲は、同じく1敗の同東72枚目當眞(宮城野)だった。同期入門力士だが、鳥取城北高卒の3学年上。体重は211キロで145キロの吉井は、立ち合いから一気に土俵際まで押し込まれたが、相手のはたきを踏ん張って左前みつを手にした。その後、こう着状態になったが、右前みつも手にして一気に寄り。土俵際に押し込んだ上で、右上手投げを決めた。

「重かったです。自分では出し投げのイメージでしたが、何とか勝てて良かったです」

どうしても勝ちたい相手だった。デビューの夏場所では、昨年の全国中学選手権個人で準優勝の大辻(高田川)が、當眞に勝っていたから。「大辻のことを考えると、勝っておきたい相手でした。苦しみましたが、何とかなりました」。

理想の立ち合いから馬力で押し込む相撲ができたのは、5勝目を飾った一番のみという。師匠の中川親方(元前頭旭里)からも「内容が良くない」と指摘されている。それでも、出世は順調。吉井自身はおごらず、「ここから先は、ゆっくりと上がっていければと思います。とにかくケガをしないように、じっくりと力をつけていきたいので」と話している。【柳田通斉】