大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)の番付が発表された26日、新入幕を果たした剣翔(28=追手風)が埼玉・草加市の部屋で行われた会見に出席し、「番付の1番上に名前が載るのが夢だったのでうれしい」と、笑顔で喜びを語った。

新十両に昇進した16年初場所から約3年半、十両から抜け出せなかったが、7月の名古屋場所では13勝2敗の好成績で自身初の十両優勝。念願の幕内昇進に「長かったという気持ち。初土俵から5年半だけど、大卒なので全然早くないと思っている。(弟弟子の)大奄美や年下の大翔鵬に追い越されて上がりたい気持ちが強かった」と、かみしめるように話した。

ファンからは「何をしてくるか分からない相撲を取る」と評判がある。剣翔本人も認めており「10種類はある」という変幻自在な立ち合いが武器。直近2~3年の相手の取組を研究して場所に臨むなど、184センチ、175キロの巨体とは裏腹に理論派な一面が光る。

「悪く言えば型がないが、いいように言えば何でもできるタイプ」と自己分析。十両優勝した先場所は慢性的な腰痛に苦しんだが、その分「早く決着をつけよう」と取組に時間をかけない心掛けが、好成績につながったという。

日大で1学年先輩だった小結遠藤(28=追手風)を追いかけるように同部屋に入門して、14年初場所に初土俵を踏んだ。4年前に行われた新十両昇進時の会見では「人気、実力ともに遠藤関を超えたい」と対抗意識を燃やしていたが、この日は「あのときは調子こいていた。僕が大関になって勝てるかな…」と弱気な発言。角界屈指の人気力士である兄弟子に対して、尊敬する点が多いからだ。

「まずは顔ですよね。顔はどうしようもない。大学のときから稽古でも食べるものにしても、ストイックな人だった。毎日同じことを1時間も2時間もできる。僕にはできない。集中力が違うんでしょうね」

将来的に「できたら遠藤関や追手風部屋と優勝決定戦をしたい」と青写真を描く。秋場所の目標はひとまず勝ち越し。「思い切りの良さと、何をしてくるか分からないような『おっ』と思われる相撲を取りたい」と意気込みを語った。