現役最年長関取で西十両8枚目の豊ノ島(36=時津風)が、現役2番目の年長関取で東十両9枚目の蒼国来(35=荒汐)を、得意のもろ差しから万全の寄りで白星発進した。

2人合わせて71歳の、豊ノ島いわく「シニア対決」を制しても、やや険しい表情は崩れなかった。風呂上がりの支度部屋では、右アキレス腱(けん)付近を氷袋で冷やす姿があった。先場所は同所を痛め途中休場。1勝しか挙げられなかったため番付を、西前頭14枚目から大きく落とした。その痛みを抱えたまま、場所前の稽古も「関取衆と、しっかりした申し合いができなくて多少の怖さはあった」という。痛みも「その日によって変わる。部屋でもしっかりケアしないと、怠るとオッサンだから」と細心の注意を払っている。

そんな心構えが味方したのか、迎えたこの日朝は「気候によって(痛みは)変わるけど、今日はすごくいい状態だった」と話す。相撲内容も「慌てず、勝負どころは勝負どころで出られて良かった。思ったより取れている。なるべく、こんな状態で15日間、取れたらいいと思う」と自分に期待した。早めに白星を積み重ね、勝ち越し、さらに1場所でも早い幕内返り咲きのために白星を量産したい。過去17場所中、15場所で勝ち越し、14勝1敗で優勝決定も経験している「験の良い」(豊ノ島)九州場所。そして全休1場所を除けば8場所全て勝ち越し&優勝2回に2ケタ勝利6場所という、強さをみせる十両での土俵。データは豊ノ島を後押ししている。例年、場所に入ると急激に冬の気配に包まれる九州場所。用心を重ねながら、最年長関取が充実の15日間に臨む。