大相撲九州場所を途中休場し、2場所連続で勝ち越すことができず、来年1月の初場所は関脇に転落する大関高安(29=田子ノ浦)が2日、都内の部屋で稽古を再開した。非公開だった稽古後、取材に応じ、休場の要因となった急性腰痛症について「経過は良好。だいぶ良くなってきている」と説明した。まわしを着けて四股などの基礎運動を行ったという。

高安は7月の名古屋場所中に左肘靱帯(じんたい)断裂の重症を負い、同場所を勝ち越し後に休場、9月の秋場所は全休していた。九州場所は左肘のけがの影響を見せ、7日目まで3勝4敗。ただ、7日目の前頭玉鷲戦は好内容で白星を挙げており、巻き返しの機運が高まっていたところで、8日目に急性腰痛症を発症して休場。会場に入り、土俵入りまでこなした後に急きょ休場する、極めて珍しいケースだった。

「ぎっくり腰です。その日の(朝稽古の)状態も好調だった」と振り返る。朝稽古後に発症したといい「いろいろ治療して、何とか相撲を取ることができるかな、という感じになったが、場所(会場)に入ってさらに悪化してしまった。あの状況で休むという気持ちにはならなかった。いろんな策を練ったけど改善しなかった。正直、歩けなかった」と、かど番脱出へ、休めない状況もあって、ギリギリまで出場を模索していた内幕を明かした。土俵入りも「正直、相当痛かった」と打ち明けた。

すでに幕内前半戦が始まった後での休場の決断には「協会の皆さん、支度部屋のお相撲さんにご迷惑をおかけした。見に来てくれた方、テレビで応援してくれた方には申し訳ないとしか言えない」と謝罪した。その上で、今後については「けがしない体づくりを1番に取り組む。イチから見直して同じことを繰り返さないよう治療と並行して体づくりをやっていく」と、現在行われている冬巡業への途中参加は未定で、当面は基礎運動から始め、部屋での稽古で鍛え直す予定だという。

左肘については「問題ない」といい、急性腰痛症を発症してから4日後、九州場所の終盤戦からは徐々に体を動かしてきた。関脇に転落する来場所で10勝すれば、大関に返り咲くことができる。「今年は苦しい1年だった。筋力に弱いところと強いところがあって、そこにゆがみが生じる。弱いところを強く、強いところをより強く。まだ日数はある。コツコツやっていきたい」。現在、176キロの体重についても「もっとタイトな体にしていきたい」と、腰に負担をかけないよう、今後は絞っていく計画も明かした。

九州場所前に婚約を発表した演歌歌手の杜このみも「もちろん心配してくれている」という。「けがをするには意味がある」。今回の負傷の連続と大関からの陥落は、乗り越えなければならない試練-。そう自らに言い聞かせ、来年2月で30歳となる前、20代最後の場所は明確に、10勝以上という目標に突き進む。