横綱白鵬(35=宮城野)の“ご乱心”? を協会上層部は首をかしげた。

過去の対戦成績9勝1敗で、本場所以外では横審総見や出稽古でも「稽古台」のような存在だった関脇正代(28=時津風)相手に、心の変調ぶりを露呈した。立ち合い、右で張った。ここまでは、よくある白鵬の姿だが、その張り手が決まって押し込んでも、さらに張り続けた。2発目、3発目が不発に終わり、4発目は何とか当たったがバランスを崩し上体が起き、正代に脇をつかれ二本差しを許した。なすすべなく寄り切られ2敗目。優勝争いでトップの座を平幕で1敗キープの碧山(33=春日野)に譲り渡し、横綱鶴竜、関脇朝乃山にも並ばれた。

協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「らしくない。興奮して気持ちを抑えられなかったのか。最初から冷静さを欠いて、2発目に空振りしてバランスを崩した」と話した。さらに「気持ちが整ってなかったのか。どうしちゃったんだろう、勝負を早く決めたかったのかもしれないが、こうゆうの(白鵬の姿)は見たことがない」と心の乱れに驚きを隠せなかった様子だ。13日目は大関とりの朝乃山と対戦するが、この日の相撲の影響について「あるでしょう。ただ(単に)負けたのではなく、自分から墓穴を掘った。気持ちを立て直せるかだろう」と話した。

また土俵下で審判長を務めた審判部の錦戸副部長(元関脇水戸泉)も、変調ぶりを取組前の所作の一端から、垣間見たようだ。「いつも塩を取りに行く時、サーッと走るのに、今日はちゅうちょしていた」。さらに立ってからも「張り手の時は、張って差すか、まわしを取るかだけど、今日は張り手しかやってない」と二の矢が出なかった異変を察知。「今日は少し高かった。いつも脇を締めているのに、振りかぶっていた」と、自滅した横綱の相撲を振り返った。