大相撲行司の最高位、35代木村庄之助の内田順一さん(73)は、規則正しい生活に加え、愛犬との散歩で健康を維持している。

毎日午後2時から愛犬「カラニ」と約20分、その後も1人で約30分、近所を歩いている。立行司になってから1度も差し違えたことがない名行司は、今も元気いっぱいだ。

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千葉県市川市の閑静な住宅街で、35代庄之助の内田さんは生活している。2011年9月に日本相撲協会を退職してからは、約4キロやせて体重は56キロ。規則正しい毎日を心掛けている。

「朝は5時に起きて、テレビを見ています。朝食は6時半くらい。パン、コーヒー、野菜。昼は麺類。夜はご飯は1杯まで。それ以上は入らないけど、満腹にならないようにしています。寝るのは午後11時すぎですね」

朝食後、NHKの連ドラを見て、昼ごろまでは新聞のクロスワードを解いているという。「頭を使ってます。シミはあるけど、趣味はないよ(笑い)」と得意の駄じゃれで笑わせた。

行司を務めていた時は、足さばきが大事だったこともあり、時に膝が痛むものの、足腰はしっかりしている。「午後2時から犬を連れて20分くらい。犬を家に入れてから、1人で30分くらい歩きます。食後2時間くらいがいいと、(医師の)先生に聞いています。散歩といっても速足で歩くので、汗をかきますね」。愛犬はチワワで、名前は「カラニ」。「名前は、息子がハワイのサーファーからとった。もう今年で11歳です」。

初代若乃花にあこがれ、中学卒業時に角界入り。力士と違って、行司は基本的に年功序列。1962年5月の初土俵から、一人前とみなされる十両格に昇進するまで20年以上かかった。2007年5月に立行司に昇進。37代式守伊之助を襲名し、その1年後には35代木村庄之助に上り詰め、最高位を3年以上も勤め上げた。立行司として、差し違えは1度もない。「それが見せどころだからね。微妙な相撲もあったけど、集中力もありました」と振り返る。

現在の相撲界では、立行司は41代伊之助のみで、庄之助は不在。力量が認められなければ、空位は埋まらない。「横綱が2人いるから、庄之助と伊之助がいないと格好がつかない。よく(一般の人から)聞かれるんですよ。『なぜ今は庄之助がいないのか』って」。陰ながら、後輩たちの健闘を願っている。【佐々木一郎】

◆35代木村庄之助 本名・内田順一(うちだ・じゅんいち)。1946年(昭21)10月29日、宮崎県生まれ。62年5月初土俵。84年1月に十両格、94年1月に幕内格、06年三役格。07年5月に37代式守伊之助、08年5月に35代木村庄之助を襲名した。11年9月、定年退職。10年九州場所2日目、稀勢の里が白鵬の連勝を63で止めた取組が思い出の一番。