大相撲初場所で初優勝した西前頭筆頭の大栄翔(27=追手風)が千秋楽から一夜明けた25日、埼玉・草加市の部屋でリモートでの会見に出席した。快挙の喜びを語る一方で、昨年4月から日大大学院に通い始めたことについて初めて言及。大相撲の部屋制度に通ずる「ファミリービジネス」を勉強中で、来春の修了を目指している。将来、親方として部屋経営を見据える“院生関取”は、大関昇進への思いも口にした。

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大栄翔はうれしい悲鳴を上げた。「まだ返信できていないです。これから返していかないと…」。祝福の連絡は一夜で400件以上。「幕内最高優勝の影響力はすごい。日頃から応援してくれる人に感謝しないといけない」と、快挙の大きさをかみしめた。後援会関係者によると、2月上旬に地元の埼玉県朝霞市役所を表敬訪問することも決定。お祝いムードは続きそうだ。

文武両道を実践していた。日大出身の師匠、追手風親方(元前頭大翔山)の勧めもあり、昨年4月に日大大学院に入学。同族企業の経営の特徴を学び、事業継承の実現を考える「ファミリービジネス」を勉強している。授業はコロナ禍のため現在は全てリモート形式で「いろんな分野の人がいるので話を聞くだけで勉強になる」。すでに「相撲」をテーマにしたリポートを数本提出。順調にいけば来年4月に卒業予定という。

現役力士として土俵を務めながら、人生設計を描いていた。同族経営は、大相撲の部屋制度に通ずる。「相撲界の部屋継承とか将来に生かしたい。将来的にはそういうところ(親方)にもなりたい」。将来の部屋経営に意欲を示した。

力士としての次の目標はシンプルだ。最高位は関脇。「相撲界に入った以上は上を目指している。それ(大関昇進)を達成できたら」。来場所は三役復帰が確実。成績次第では大関とりの足固めとなる可能性もある。「これからも地道にかなえていきたい」。控えめながらも、口調は力強かった。【佐藤礼征】

◆角界と大学院 元横綱日馬富士が現役時代の14年4月に法大大学院の政策創造研究科に進学。荒磯親方(元横綱稀勢の里)は現役引退後の昨年4月に早大大学院に入学し、スポーツ科学研究科の修士課程1年制でスポーツマネジメントなどを研究している。青森大卒の関ノ戸親方(元小結岩木山)も現役中の03年4月に青森大大学院に進学。