1敗同士の対決となった高安-照ノ富士戦を、八角理事長(元横綱北勝海)が解説した。

立ち合いは、照ノ富士が頭でかまし、やや優勢だったが、高安がもろ差しに成功した。右、左と差し込み、右のかいなを返して、照ノ富士の左を一時は万歳させる場面すらあった。

八角理事長 照ノ富士の立ち合いは良かったが、うまく高安に右を使われ、手を上げられた。高安の右の使い方がうまかった。照ノ富士の脇の甘さをついて、2本差した。その後も落ち着いていた。

もろ差しになった高安は、焦らない。頭をつけて、勝機をうかがった。照ノ富士は半身になって防戦一方。高安は深く差した右下手で揺さぶり、どんどんいい体勢になっていく。照ノ富士は苦し紛れに左で高安の首を巻いたが、寄り切られた。

八角理事長 高安はゆっくり出た。いっぺんに出ると、(照ノ富士の)小手投げがある。下手投げを打ちながら出た。照ノ富士に小手投げを許す場面がなかった。分かっている、というのか、照ノ富士の怖さ、小手投げの強烈さを分かっている。右が深く入って、きめさせなかった。照ノ富士は小さい相手には小手投げを決められるが、高安は身長があるから、引っ張り込めない。高安はうまく取った。

高安は1敗を守り、優勝争いの単独トップに立った。八角理事長は、優勝を占うには「まだ早いですね」と言う。高安は優勝経験がない。本人は意識してしまうものだろうか。

八角理事長 意識するでしょうが、意識しても自分の相撲を取り切らないと、優勝できない。今日みたいにどっしりいけばいい。今場所は思い通りいけているんじゃないか。久しぶりに気持ちと体が一緒になっている。

一方の照ノ富士は、敗れたものの大関復帰へ向けて、中日を終えて6勝2敗は悪くない。昇進の目安となる直近3場所、三役で33勝まであと3勝としている。

八角理事長 一番、上位で安定している取り口。これを続けていけばいいんじゃないか。今日も立ち合いは踏み込んでいる。この体で踏み込んでこられたら、押し相撲(の力士)も押していけない。あとは強引にならないこと。巻き替えながら、がっぷりになること。がっぷりで勝てる人は、なかなかいないんだから。

高安が1敗で単独トップとなり、2敗で照ノ富士、千代の国が追う展開。9日目から、勝負の後半戦が始まる。